2023.10.02
抜毛症の原因はストレス?原因や治療方法について詳しく解説
「毛を抜くことをやめられない…」
「抜毛することで不安がやわらぐ」
「いつの間にか毛を抜いている癖がある」
これらの症状は、もしかすると「抜毛症」かもしれません。
抜毛症とは、抑えきれない衝動により自らの毛を引き抜いてしまう症状。
薄毛などの皮膚疾患ではなく、精神的なストレスが原因です。
この記事では、抜毛症の原因や治療方法について詳しく解説していきます。
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抜毛症(トリコチロマニア)とは?
抜毛症とは、抑えきれない衝動で自分の髪・眉毛・まつ毛などを抜いてしまう病気です。
毛を抜く前は不安や緊張が高まり、抜くことでそのような感情が和らぐといった特徴があります。
自分自身で抜くのをやめようと思ってもどうしても繰り返してしまうこともあれば、無意識に抜毛を繰り返しているという場合もあります。
抜毛症が発症しやすい年代と性別
抜毛症が発症しやすいのは10代〜20代の若い世代。
人間関係や家庭の問題などでストレスを感じやすく、自ら環境を変える手段がほとんどないことが原因とされています。
また、成人の抜毛症患者は8:2の割合で女性が多いというデータがあります。
参照:一般社団法人 日本抜毛症改善協会 |2022年6月現在の 抜毛症 統計の発表
抜毛症チェックリスト
「これって抜毛症?」と不安に感じたら、以下の簡単なチェックリストで、抜毛症かどうかチェックしてみましょう!
- 自ら髪や体毛を引き抜く癖がある
- 毛を抜くことで緊張や不安が和らぐ
- 抜毛することで、脱毛が進んでいる部分がある
- 抜毛をやめようと思ってもやめられない
- 引き抜いた毛を飲み込む癖がある
※確実な診断結果を表すものではありません。
不安がある場合には、専門の医師に相談してください。
抜毛症はストレスが大きな原因
抜毛症の原因はまだハッキリとはわかっていませんが、主に不安やストレスが原因だと考えられています。
人間関係でのトラブルや、学校や家庭でのストレスが引き金となり、抜毛に至るということがあります。
ストレスから逃げるため、毛を抜くことで満足感や解放感を得ていることが多いです。
「やめたくてもやめられない」と慢性化している場合は、強迫症状も発症していることもあります。
抜毛症の治療方法
抜毛症はストレスや不安などが主な原因と考えられているため、心理療法や薬物治療、行動療法での治療が一般的です。
心理療法での治療
専門家と一緒に不安やストレスの原因を特定し、対処法をみつけていきます。
特に、絵画療法や箱庭療法などの自分の内面を表現する心理療法を活用し、自分では気がついていないストレスや不安を発見します。
薬物での治療
抜毛症の治療においては、ときに薬を処方されるケースがあります。
以下は抜毛症に有効であると報告されている薬物です。
薬物名 | 詳細 |
抗うつ剤(SSRI・クロミプラミン) | セロトニン(脳の神経伝達物質)の働きを改善し、抗うつ効果を発揮する |
N-アセチルシステイン | 抗酸化作用を示すアミノ酸のひとつ |
オランザピン | 「統合失調症」の治療薬として開発された |
参照:30Cochrane
行動療法(習慣逆転法)での治療
特に無意識に毛を抜いてしまう抜毛症の方には、行動療法のなかでも「習慣逆転法」が効果的です。
習慣逆転法では以下のようなトレーニングを行います。
- 自分がしている行為を自覚する
- 引き金となる状況を特定する
- 抜毛とは別の行動に置き換える
抜毛とは別の行動の例として、こぶしを握る、手の上に座る、リラックス法(瞑想や深呼吸)などがあります。
このように、抜毛行動を他の行動に置き換えていくことで改善を目指します。
抜毛症の治療期間
治療をスタートしてから、約3分の1の患者さんが1年以内に症状が軽快するといわれています。
しかし、なかなか抜毛の癖が治らずに慢性化してしまうこともあり、治療が長期化する場合もあります。
抜毛症を放置するのは危険です
抜毛症は一度発症すると、何年も繰り返してしまう傾向があります。
毛を抜いてしまう癖を放置してしまっていると、強いダメージで毛根が死んでしまい、髪が二度と生えてこないというケースもあります。
抜毛症は早期発見・早期治療が大切です。
一人で長年悩まずに、まずは医師に相談することから始めましょう。