2022.11.11
VCD式カンキで勃起不全は解消できるのか。ED治療薬との違いについて
勃起不全であるEDは、一昔前までは「インポテンツ」「インポ」と揶揄されてしまっていますが、差別的な表現であることから現在のEDや勃起不全、または勃起障害と呼ばれるようになりました。
そんな社会問題とも言えるEDですが、心因的、加齢によるものから、身体的な障害によって勃起できない器質性によるものなど原因は様々なため、治療方法についても多肢にわたります。
EDの治療にはバイアグラなどの治療薬による内服が有名ですが、治療薬以外にも勃起を促す器具を使った治療方法もあり、VCD式カンキはED治療器具の一つです。
この記事では、VCD式カンキ含む陰圧式勃起補助具による勃起改善の効果とその使用方法、メリット・デメリットを中心にED治療薬との違いについても解説していきます。
Index
VCD式カンキとは?
VCD式カンキは勃起不全であるED専用の治療器具のことで、ED治療陰圧式勃起補助具とも呼ばれています。
一般的に陰圧式勃起補助器具は、ポンプのような仕組みの器具を使って空気圧を利用し、ペニスの海綿体に血液を送り込むことで勃起を引き起こす手助けをする目的で開発されました。
VCD式カンキのVCDは(Vacuum Constriction Device)の略で、勃起でお悩みの男性の陰茎に専用のポンプとシリンダーによって圧をかけて勃起を促します。
現在ではバイアグラなどのED治療薬の内服治療が主流になっていますが、これらの効果も100%ではないことから治療薬以外の改善方法の一つとして採用されています。
VCD式カンキの特徴と効果について
VCD式カンキは、ED治療陰圧式勃起補助具で唯一厚生労働省から認可を受けている補助具として知られています。
しかし、現在ではVCD式カンキの販売は製造元である株式会社武井医科光器製作所で生産を終了されているため購入できなくなっています。
類似品が通販などで入手できる可能性はありますが、陰圧式勃起補助器具は厚労省の承認及び許可が必要なため、未承認の商品は避ける方が無難です。
現在では「ビガー2020」(販売元:株式会社A&HB)が国内では厚労省の承認を得た唯一の陰圧式勃起補助器具になります。
心因性や物理的な勃起不全である器質性EDなどの原因に関係なく効果に期待できることや、使用においてもシンプルで高度な技術や専門的な知識がなくても扱えます。
ED治療薬で改善効果があまり得られなかった方や、心臓病などの持病に対して不安がある方でも副作用がないため安心して使用できることが特徴です。
参考サイト:銀座リプロ外科 陰圧式勃起補助具Vigor(ビガー)2020によるED治療
VCD式カンキ含む補助具を使ったED治療がオススメの方
VCD式カンキを代表とした陰圧式勃起補助具によるED治療がオススメの方は以下に該当する方になります。
- ED治療薬で改善できなかった方
- ED治療薬が苦手・または副作用が強い方
- 持病の薬とED治療薬の併用が難しい方
以上のようにED治療薬によるED治療に効果が見られなかった方や、不安がある方に対して保護具の使用が推奨される流れが一般的です。
他にも前立腺全摘手術後などによって陰茎海綿体の働きが弱まってしまった方に対するリハビリテーションとして使用されるなど、広範囲で効果を発揮しています。
VCD式カンキ含む陰圧式勃起補助具のデメリット
薬の効果や服用自体に不安がある方や、EDの種類を問わずに勃起改善の効果に期待できる陰圧式勃起補助具ですが、メリットばかりではありません。
ここでVCD式カンキ含む陰圧式勃起補助具によるED治療の主なデメリットについてまとめてみました。
勃起効果は高いがその割に満足度が低い
公益財団法人 日本医療機能評価機構が発表しているED診療ガイドラインによりますと、VCD式カンキ含む陰圧式勃起補助具は、性交に可能な勃起状態を90%で達成可能であるが満足度は全体の27%〜94%とかなりバラツキがあります。
その理由としては使用感にあるようで、どうしても陰茎に圧をかけるため陰茎の痛みやしびれ、皮下出血といった軽い副作用が発生することが挙げられます。
参考元:ED医療ガイドライン
体質的に使用できない人がいる
ED治療薬が持病などで服用が難しい方にも効果が期待できるVCD式カンキ含む陰圧式勃起補助具ですが、体質によって使用が禁止される方もいます。
自然に出血を起こしやすい白血病や多発性骨髄腫といった出血性素因に該当する方は絶対に使用を禁止されています。
また、陰茎付近に神経障害を有するアルコール依存症のような方は通常よりも感覚が鈍っていることで強く締めすぎる恐れがあるため推奨されません。
VCD式カンキ含む陰圧式勃起補助具の主な使い方
VCD式カンキ含む陰圧式勃起補助具はポンプ式の球型ゴムからペニスを挿入したプラスチック性の管に血圧計のように圧を加えてペニスに軽く負荷をかけ、血流の流れを呼び込んで勃起を促します。
使用の順番については以下のとおりです。
- 1 事前準備として亀頭や陰茎に潤滑用のジェルを塗布します。
- 2 準備が完了したら亀頭をプラスチック管にあるパッキンの穴に当てます。
- 3 次に球型のポンプを血圧計のように操作して、亀頭を管の中に誘引します。
- 4 3〜4センチほど吸い込んだところで一旦停止します。
- 5 一旦停止した状態で20〜30秒ほど待って、海綿体に血流を促します。
- 6 もう一度ポンプで操作して今度は10秒ほど待ちます。
- 7 6を繰り返し行うことで段々と勃起するようになります。
- 8 勃起したら管についているアダプターを陰茎の根元方向に押し出します。
- 9 アダプターとパッキンが分離し、パッキンだけが根元に残ります。
- 10 アダプターを外しても勃起の状態をキープできます。
扱い方はかんたんで、どなたでも慣れればすぐに扱えますし、パッキンも根元付近にあって陰毛に隠れて目立ちません。
パッキンの大きさは個人のサイズに合わせたものを使用したり、ポンプによる吸引回数も個人差があるため、実際に何度か使用してみて適度な感覚をご自身でみつけていく方式です。
VCD式カンキ含む陰圧式勃起補助具とED治療薬。どちらを選択すればよいのか
ここまでVCD式カンキ含む陰圧式勃起補助具によるED治療についてお伝えしましたが、「結局、どっちを選択すればよいの?」と迷われる方もいらっしゃると思います。
結論としては良し悪しではなく、どちらもメリット・デメリットの双方をみてご自身に合う方法を選ぶことが大切です。
専門医としっかり相談しながら各個人の状況に応じてベストと思われる選択をするようにしましょう。
また、ED治療はどちらか片方を選ぶのではなく、治療薬と補助具の併用でさらに効果に期待することも可能です。
ED治療は双方のメリット・デメリットを把握してベターな選択を
この記事ではVCD式カンキ含む陰圧式勃起補助具の効果や、使用方法、メリット・デメリットを中心に解説しました。
ここまでの内容をまとめますと
- VCD式カンキは陰圧式勃起補助具の一つ
- 陰圧式勃起補助具で唯一厚生労働省の認可を受けている
- ED治療薬に不安がある方にオススメ
- 勃起効果は高いが使用感に不満がある
- ED治療薬との併用も効果が高い
- 出血性素因の方は使用できない
以上になります。
VCD式カンキを含む陰圧式勃起補助具は、今ED治療の主流であるED治療薬で効果が得られなかった人や持病などで治療薬の服用に不安がある方に高い効果を発揮します。
扱いもシンプルで特に専門知識がなくても誰でもかんたんに扱える器具ですが、一般的にはED治療薬による治療が難しい場合の次の選択として推奨されることが多いようです。
ただ、どちらか一方が優れているといった問題ではありません。
双方にメリット・デメリットの両面がありますので、専門医と相談しながら現状においてベターな選択をしていくようにしましょう。